給兵艦

IJN Kashino Class AE Kashino

樫野(かしの)は、大日本帝国海軍の運送艦(給兵艦)。艦名は紀伊半島南端、大島の東端にある樫野埼に由来する。樫野の全体像を写した写真は無いとされている。
「給兵艦」とは、武器・弾薬などを輸送する艦のことであり、通常は弾薬暴発防止のための冷却設備等を備える。しかし「樫野」の実際は、給兵艦ではなく大和型戦艦の主砲砲身、主砲塔を運ぶ専用の砲塔運搬艦(「重量物運搬船」)であった。
日本海軍は、大和型戦艦の建造を決定したが、その主砲を「九四式四十糎砲」と呼称するなど口径46センチであることは極秘になっていた。その46センチ砲は呉海軍工廠において製造されるため、同所で建造される「大和」以外の艦、「武蔵」(三菱重工業長崎造船所)と「信濃」(横須賀海軍工廠)の艤装を行うためには、主砲及びそれらの部品を輸送する必要があった。当時、46センチ砲を運搬できる運送艦、貨物船は無く、既存の輸送船の改造も含めて検討されたが、大和・武蔵建造を決めた第三次補充計画において、本船を新造して対応することが決定された。また民間船を使用した場合の情報漏洩を恐れ、機密保持を徹底させるためという意見もある。計画番号J12、仮称艦名は第55号艦。大和型の主砲の運搬にかかった金額は、樫野の建造を含めて、とんでもなく高くついたとされる。
本艦は、1航海で1基の主砲塔、砲身3本、砲塔用装甲を輸送できるよう設計された。「一度に主砲砲身6本・主砲塔2基を輸送できる」ともされる。51センチ砲搭載を予定した超大和型戦艦用の砲塔搭載も設計時に想定された。これはよく言われる、51センチ連装砲塔ではなく、3連装砲塔(3,790トン)が採用された場合にも対応できた。
上甲板には計3カ所のハッチがあり。最前部のNo.1ハッチは長さ19.2m、幅11.0m、主砲身の運搬に支障が出ないように砲身の長さ20.7mとほぼ同じ長さとなっている。No.2ハッチは長さ13.6m、幅12.5m、No.3ハッチは長さ15.7m、幅14.8mの楕円形で3番目の船艙が最大だった。
艦幅に対してハッチ部分が非常に広いので、上甲板での船体強度確保のために、船体の断面は上部が外側に捲れた様な特殊な形状をしている。また、砲塔の輸送中に他船との接触や座礁で船艙に浸水すると、国防計画に重大な影響がでるので、船艙の部分は船底の二重底がそのまま舷側の上甲板まで続く、軍艦と同様な二重構造となっていた。重量物を積載する関係で極端な低重心構造で設計されており、波浪の際には激しい横揺れが発生した。「耐え難い乗り心地」という報告が残っており、後ほど上甲板に鋼板を積み重ねて載せて重心を上げる処置が実施された。
砲塔や砲身を輸送する場合の揚げ降ろしは、工廠や造船所にあるクレーンを使うので、本艦にデリックの必要はないが、通常の貨物の輸送にも使えるように装備された。その場合はハッチが大きすぎて不便であり、船体の補強を兼ねて鋼板を鋲接、開口部分を小さくして使用し、鋼板をはずせば再度砲塔の輸送ができるようにした。
機関は技術吸収の意味もあり外国から輸入、スイスのブラウン・ボベリ社製のタービンとアメリカのラモント社製の缶(ボイラー)を搭載している。缶は蒸気温度450度、圧力50kg/平方cmと、駆逐艦「島風」の400度、40kg/平方cmを上回る高温・高圧缶だった。更に、輸入した缶が不調だった場合に備え、日本製のホ号艦本式缶も2基搭載、これだけで全力発揮できるようにし、2種類の缶の比較実験も兼ねた。また輸入が間に合わなくなった場合に備え、タービンは旧駆逐艦「樅」のもの、缶は戦艦「伊勢」から陸揚げしたものを臨時に搭載する第2案も準備されていた。
三菱重工業長崎造船所のS755番船として建造され、1940年(昭和15年)7月10日に竣工。1941年(昭和16年)、武蔵の砲塔部品輸送のため、呉から長崎へと3往復の航海。これが本来の任務に使われた唯一の航海である。その後は通常の運送艦として使用。1942年(昭和17年)9月4日、台湾沖で米海軍潜水艦「グロウラー(SS-215)」の雷撃により(高松宮日記によると午前9時50分、北緯25度40分、東経122度41分で魚雷3本を受けて)沈没。わずか2年ほどの運用で終了した。尚、本艦の喪失と、ミッドウェー海戦に於ける主力空母損失に伴う空母増産計画により、3番艦信濃用に造られた砲身は、使われる事も運ばれることもないまま、取り残された。

GNU Free Documentation License.

性能諸元:
分類:運送艦
クラス:給兵艦
艦番:-
起工:1939年起工 竣工:1940年竣工
型式:単独型 艦番:1番艦
艦名:樫野 初代樫野
由来:地名 紀伊半島南端、大島の東端にある樫野埼に因む
諸元:基準排水量:10,360トン 満載排水量:11,468トン 公試排水量:11,100トン
全長:136.6m 全幅:19.9m
兵装:

竣工時 最終時
12cm単装高角砲x2 12cm単装高角砲x2
13ミリ連装機銃x2 13ミリ連装機銃x2

搭載機:なし
信号符字 Juliet – George – Mike – Queen
J G M Q

補足情報:

同型艦:
樫野 (かしの) 1940年竣工 (三菱長崎) 台湾沖で雷撃にて戦没。

考証:

別仕様:

使用部品:
ピットロード製 樫野1942改造
各社エッチング、金属素材、プラスチックインジェクションパーツ等使用

製品所在:
2016年8月1日 軍艦堂にて起工
2016年8月6日 軍艦堂にて竣工
2016年 月 日 様所蔵

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あとがき:
デリックを使用して砲塔は収納していないようですが、模型的再現で釣貨してあります。キットは船倉に砲塔部品が収まらない関係でフルハル仕様のため、船底をプラバンで製作して、収納中の状態を再現しています。
編集 鴣囃子裕二@軍艦堂 トップへ

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