概観諸元

分類:戦艦 クラス:戦艦
艦番:BB-48
起工:1920年起工 竣工:1923年竣工
型式:コロラド級 艦番:4番艦
艦名:ウェストヴァージニア 2代目 初代ウェストヴァージニア 装甲巡洋艦
由来:州名 アメリカ合衆国35番州ウェストヴァージニア州
諸元:基準排水量:32,500トン 満載排水量:33,590トン
全長:190.2m 全幅:32.92m
竣工時兵装:45口径40.6センチ連装砲×4 51口径12.7センチ砲×10 38口径12.7センチ単装高角砲×10 76ミリ高角砲×2 12.7ミリ単装機銃×6
最終時兵装:45口径40.6センチ連装砲×4 51口径12.7センチ砲×8 38口径12.7センチ単装高角砲×8 56口径40mm対空砲×36門 70口径20mm対空砲×43門
信号符字
NE D G

概要

ウェストバージニア (USS West Virginia, BB-48) はアメリカ海軍の戦艦。コロラド級戦艦の4番艦。艦名はアメリカ合衆国35番目の州にちなむ。その名を持つ艦としては2隻目。
ウェストバージニアは1920年4月12日にバージニア州ニューポート・ニューズのニューポート・ニューズ造船所で起工し、1921年11月17日にアリス・ライト・マン(アイザック・T・マンの娘)によって命名、進水し、1923年12月1日に初代艦長トーマス・J・セン大佐の指揮下就役した。
「超弩級戦艦」であったウェストバージニアは当時最新の造船技術が具現化された艦であった。その船体装甲はユトランド沖海戦前に設計された戦艦の装甲に比べて進歩が見られた。 就役後ウェストバージニアは数ヶ月をかけて公試および整調を行い、改修が実施された。
ニューヨーク海軍工廠での作業後、ハンプトン・ローズに向かう途中に操舵装置の故障が発生した。ハンプトン・ローズでオーバーホールを行い、1924年6月16日に外洋に向けて出航した。同日10:10、リンヘヴン海峡を通行中、操舵手は舵角指示器が反応しないと報告した。操舵室への非常ベルに対して反応が無く、セン艦長は直ちに全機関の停止を命じた。しかしながら機関室からの応答はなく、操舵室および機関室への電信が通じなかったことが判明した。 その後艦長はブリッジから伝声管を通じて機関室へ命令を行った。艦長は左舷機関室に対して全速を命じ、右舷に対しては停止を命じた。機関と操舵を維持する努力は海峡内で継続されたが、全ての努力は無駄となった。艦は機関故障により方向を失い、軟泥の海底に座礁した。副長のスターク中佐は「...船体への損傷はほとんど無かった」と報告した。 調査委員会の事故調査により、不正確で誤解を招きやすい海図がウェストバージニアに与えられていたことが判明した。海図には実際よりも海峡の幅が大きく示されていた。この事実により、セン艦長および操舵手の事故に関する責任は問われなかった。
1941年12月8日の日本海軍による真珠湾攻撃により大破、着底して戦闘不能となり、その後に浮揚、改修工事をうけて1944年に太平洋艦隊に復帰した。
同年10月25日の深夜、レイテ沖海戦でのスリガオ海峡で、オルデンドルフ中将の指揮の下の艦隊に参加し、扶桑山城をはじめとする日本海軍の西村祥治中将の艦隊を撃破している。尚、同じく真珠湾攻撃で沈没し、修復、復帰したペンシルベニアも同海戦に参加した。
太平洋戦争は1945年8月15日に終結し、ウェストバージニアは占領任務を担当するため上陸部隊に対して訓練を行った。8月24日に第35.90.任務群の一艦として東京湾に向けて出航、8月31日に東京湾に到着し、9月2日の降伏文書調印式に臨席した。当日はウェストバージニアの軍楽隊から5名がミズーリ (USS Missouri, BB-63) に移乗し、式典で演奏を担当した。 ウェストバージニアは東京湾に留まり、9月まで占領任務に従事した。
1947年1月9日に退役、太平洋予備役艦隊で保管された。その後現役任務に復帰することはなく、1959年3月1日に除籍された。1959年8月24日にニューヨークのユニオン・ミネラルズ・アンド・アロイ社にスクラップとして売却された。1963年5月11日、艦のメインマストがウェストバージニア大学に贈呈され、現在も記念物として展示されている。艦内時鐘はウェストバージニア州立博物館へ贈呈された。 ウェストバージニアは第二次世界大戦の戦功により5個の従軍星章を受章した。
なお、真珠湾攻撃でメリーランドとウェストバージニアが損傷したものの、修復され戦線に投入されているが、このうち、ウェストバージニアは大破、沈没、着底という形となり、「航空機の攻撃で唯一沈められた16インチ砲搭載戦艦」という不名誉な記録を残すこととなった。



Wikiより抜粋

同型艦:

使用部品

製作工程

起工 船体

  1. 船体





    長い間、入手できないかと編み目を貼っていたところ、幸運なことに、広島県在住の方から入手することが出来ました。
    ピットロード製ハイモールドウェストヴァージニアBB-48、しかも、ドンピシャ1941真珠湾時です。
    あれから70年なんですね。まぁその時はこの世に存在してなかったわけですが。
    経年劣化も酷くなく、船体もわずかなエビぞり、それも全体で1mm程度と安定した状態です。年数も、入手されて10年前後とのことで、収縮も収まって完成後の状態も安心できそうです。
    パーツ構成はレジンパーツ(ポリウレタン製)、メタルパーツ(ホワイトメタル)、各種金属素材、そして、あの独特のカゴやクレーンなどのエッチングパーツ、総部品点数百数十点とボリュームもあり、レジン製キットのもつ、シャープで繊細なモールドも圧巻です。当然かもしれませんが、現在既存のどのキットよりも、圧倒的にハイディテールです。
    船体から着手ですが、手を切るかもしれないほどシャープなバリが出てるので、慎重に丁寧に整えていきます。ちなみに、レジンパーツはプラ用接着材は使用出来ないことと、塗装も乗りませんので、下地処理が必要であること、などプラキットとは異なります。そして、事前に離型材対策は行っておきます。

中央構造物

  1. 艦橋





    中央構造物作業です。艦橋部は目玉であるカゴ艦橋。ここは時間をじっくりかけてころころ転がして、綺麗なアールを付けてカゴを再現します。単装機銃はメタルパーツよりシャープさを出すため、レジンのホチキス製単装機銃に置き換えをしました。(実際はホチキス製ではありません。)
    艦橋中央は窓枠置き換え、他、水密ドア、見えない背後のラッタル。探照燈もホワイトメタル製ではなく、プラ製ディテールアップパーツに置き換えました。各所の床面など0.3mmプラ板を使用するように指示のあるところは、t=0.14mm のプラペーパーに置き換えを行いました。
    艦橋背面のラッタルはすべてエッチング交換、ここでも0.3mmプラバン使用して伊部分は0.14mmプラペーパーで置き換えます。
    艦橋後部のボートハンガーはエッチングの間に0.3mmx15mmの真鍮線を4本渡して、その上に0.14mmx14.5mmのプラペーパーで、ハンガー置台部分を再現します。
    真鍮線0.3mmを使用して、艦橋両サイドにあるランチ用ハンガーを製作します。

  2. 後部カゴマスト





    副砲の51口径12.7cm砲は0.3mm真鍮線指定ですが、あんまりなので、12.7cm金属砲身を使用します。全部で10本あります。写真中央のハンガーは先程の切り出した真鍮線を組んだものです。
    中婦構造物後半のカゴマスト周囲です。ここまでの両舷の12.7cm高角砲類は、甲板を塗装してから設置を予定していますので、まだ取り付けていません。
    カゴマスト下部の小屋は両開きの水密ドアのエッチングを使用、セルター部分の水密ドアは目立たないので、交換し忘れ注意です。
    ウナギは、まず1.1mm径を挿入してえぐって、徐々に太いものを挿入していき、カワを薄くしてやります。最終的に1.25mm迄上げました。ウナギは3基です。
    両側に鋭利なものが直立しているものは、デリックポストです。
    後部カゴマストは、丁寧に円形を再現してやるのは勿論ですが、中央部の探照橙座の位置をしっかり決めてやる必要があります。頂部から数えて7層目と8層目の桁に固定しますので、探照橙座の内径を丁寧にヤスって所定の位置に納まるようにして挿入後、固定します。その際、頂部の見張り台の取付や、カゴマスト接合部分を考慮して、固定角度に注意します。
    カゴマスト後部に張出し桁を設置します。

  3. 各種クレーン 、カタパルト






    短艇用クレーン2基と後部艦載機用クレーン、カタパルトの製作です。短艇用クレーンのポストはホワイトメタル製のものをそのまま使用。クレーンとアームの角度に注意して設置します。
    最後部の艦載機用のクレーンも同様に角度と向きに注意して設置します。
    カタパルトは付属の物はホワイトメタル製ですが、やはり、ここだけ目が埋まってるのも残念なので、ゴールドメダル製の戦艦用エッチングパーツセットに付属の初期型カタパルトに交換します。

兵装

  1. 12.7cm高角砲





    12.7cm高角砲は、ブルワーク台座付2基、シールド付が4基、通常型4基です。
    ブルワークは、後半補強筋、頂部折り返しまで再現されています。ブルワークが太めに見えるのはそのためですが、実際の厚みは0.1~0.2mm程度の薄いシャープな感じです。
    砲身はホワイトメタルでは太すぎる感じは否めませんので、総替えしてやります。副砲も12.7cm砲ですので、同じ砲身を使用してやります。金属砲身は都合、20本必要になります。
    完成したら、プライマーサーフェーサーを薄くエア吹きして下地処理して、塗装しておきます。この際、使用色は、戦時メジャー1迷彩であったため、ほぼ、日本の軍艦色ほどの濃さのグレーで塗装します。

  2. 主砲





    主砲は測距儀と砲身がホワイトメタル製です。この砲身は、非常に綺麗な円柱なため、中心をデザインナイフでセンターポンチしてやり、そこを0.8mmのピンバイスで開口してやります。

完成作業

  1. 塗装




    完成作業です。まずは、塗装から、先ず、プライマーサーフェイサーを全体に厚くならないように、且つ、下地はしっかり隠れるように吹いてやります。
    繰り返しになりますが、レジンはこの作業を怠ると、簡単に塗装面が剥離しますので、注意が必要です。
    甲板は塗り分けを行います。今回も[いつも通り、タンベースのダークイエロー系、木質系、退色系、タンのみの4色を用います。




    写真は塗装色の変遷です。よくはっきりした色の違った塗りわけの作例を見かけますが、あんまり、色目を違えると、いかにも ”塗り分けました” って感じに見えますが、逆に、控えめすぎると、”?ぬりわけてないじゃん” て事にもなりかねません。正直、この想像を絶する労力に報われるだけの表現ができているか?これが製作者の個性の出るとこですね。
    私もご多分に漏れず、試行錯誤を繰り返したクチです(;´Д`)。塗り分けは長鯨制作時から始め、試行錯誤を重ね、現在の色味は、ピットロードコンテスト出品作品の加賀から以降共通となります。
    大瓶に配合比率を記述して、調色して、塗料が無くなると、その比率で調色し直します。(途中で足すと微妙に色味が変わる(気がするw)為です。)
    塗り分けが終了したら、甲板をマスキングして、戦時メジャー1迷彩で船体を塗装します。
    塗装が完了したら、ウォッシングウェザリングを施し、トップコートを吹いて張り線へ移行です。
    ここで、私はマット(つや消し)系を基本としていますが、稀にご質問やご指摘で、実艦は光沢です。または半光沢がいいのでは?とのご意見を頂戴しますが、マットを基本とするその理由について記述いたします。
    なぜ?それはずばり!1/700であるからです。(つまりスケールです。)
    デザイナーの方や、塗装業者の方、コンストラクターの方はおわかりかと思いますが、どれだけ光沢のものでも、スケールが徐々に小さくなると、意図して反射させない限り、光沢には見えなくなっていくと言う現象です。1/700作例で光沢塗装や、半光沢で仕上げた作例が、ちゃちっぽく(しょぼくまたは汚く)見えるのは、そこです。(いわゆるオーバースケールな反射があるから)
    参考までに、半光沢でいい感じになるのは、概ね1/200以上でしょうか。1/350だとつや消しからやや半光沢寄りな感じがベストです。

  2. 短艇類





    短艇類は事前にエッチング等を取り付けておきます。めんどくさいかもしれませんが、喫水以下は黒で塗装します。
    繰り返しになりますが、レジンパーツを事前に必ず洗浄しておきましょう。横着は遠回り、急がば回れ、これを怠ると間違いなく、マスキングに塗膜が張り付いてレジン地から剥がれます。
    塗装色は、通常時のアメリカ海軍軍艦色の基本色と喫水以下がつや消しブラックで塗装しました。木部はタンを使用しました。

  3. 張り線





    最後の作業です。張り線を終えたら完成となります。

完成写真

HULL SCAPE

ZOOM UP

WATERLINE VIEW

 



撮影環境
ミニクリプトン球(電球色)4燈直射による自作撮影ブース
撮影に使用したカメラなどの機材
Nikon D90, Nikon AF-S NIKKOR 24-85mm, Nikon AF-S NIKKOR 18-55mm, Kenko CLOSE-UP Lens f330 52mm, SLIK三脚
撮影時のカメラの設定値
F-18, NOFLASH, ISO100-1400, 露出補正+1.7

製品所在


2011年12月軍艦堂工廠第弐渠にて起工 2012年1月竣工
現在コレクター様のお手許にて保管中

あとがき


とある人から、”外国艦ならウェストヴァージニアがいいかなー”と、 真珠湾と言えば、メモリアル的にはアリゾナの印象が大きいのですが、リベンジの意味では、このウェストヴァージニアなのです。今回は入手にレーダー網を張り巡らせて、2ヶ月、毎日、服とか、雑貨とか、旅行本とか、全然関係ないウェストヴァージニアが引っかかり、深夜に出品アラートのメールの着信音が鳴り響き、苦労して入手した良い(?)思い出が出来ました。
絶版、入手困難ならではの緊張感いっぱいで製作出来たウェストヴァージニアでした。

編集 岵囃子裕二@軍艦堂 トップへ